歯磨きの限界
2018年05月21日
10年以上お付き合いのある患者さんからご家族の事でこんな相談を受けました。
ある事情から他院に通院している娘が歯茎の不調を繰り返し訴えても歯科衛生士から「ハミガキを頑張りましょう」と指導を受けるだけ…。
聞くと症状あるのは一部分だけで、磨くとその後しばらくは出血が続き、歯茎は痩せ「ママ…このままだと歯が抜けちゃう」と娘はひどく悩んでいるとのこと。
母親からは「これって歯磨きでなんとかなるレベルですか?? 何か他の原因があって、治療が必要なのでは?」との相談です。
実際にお口の中を診たわけではないので詳細はわかりませんが、伺う限り歯磨きで解決出来る歯垢が原因の単なる歯肉炎以外にも原因はありそうです。
なぜ歯肉から出血するのか? なぜ歯肉が下がるのか?
歯磨きで治るレベルなのか? 他の治療も含め検討すべきなのか?
歯科衛生士が目の前の患者のお口の中で起きている問題を正しく分析し、患者を指導しない限り一向に光が射すことはなく、患者は暗闇をただ彷徨うだけです。
患者を導くことが出来ない上に患者をただ攻め続けるのはあまりにお気の毒な話です。
歯科衛生士=「歯の掃除屋さん」とか「歯磨き指導担当」なんて時代は既に終わっています。
歯科衛生士一人ひとりが今、自分が求められている業務を理解し、患者を「完治」へと導く使命を持って取り組んでほしいと歯科医師として期待します。
院長 島田 実
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熟成肉
2018年04月18日
近年、霜降り肉よりも人気の高い「熟成肉」。
*「熟成肉」とは…一定の条件で肉を寝かせたもの。
この「熟成肉」の定義があいまいであり、品質にばらつきがあるとの状況だそうです。
何日間熟成したら「熟成」なのか?
管理不十分により、腐敗に近い仕上がりの「熟成肉」もあるようです。
提供店の認識不足による、消費者の知らない「不適切な生産・管理方法」であります。
このような状況の中で、何らかの問題が起きた時の打撃を懸念する業者の意見もあるようです。
早急の定義づけが必要なのでしょう。
この状況は「歯科治療」においても同様です。
「歯の治療」と言っても、
その場しのぎの安易な治療もあれば、10~15年先の見通しを考えた治療もあります。
病気の原因にアプローチせず、治る見込みの無い歯医者の為の治療を何年にも渡り受け続ける…。
「熟成肉」の品質が悪ければ、病気を招いてしまいかねません。
「不適切な歯の治療」においては、安易な治療が他の歯や噛み合わせに影響を与え、無駄な治療を繰り返すことになります。
「歯の治療」の定義は何なのでしょうか?
院長 島田 実
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学問として「よい歯並び=よい咬み合わせ」ではない
2016年07月6日
「歯並び」と「咬み合わせ」は歯の配置という意味合いでは、近い存在であり、同じ延長線上にあるものと考えられそうですが、実際は学ぶ学科も、学問的な本質も全く違うのです。
“矯正学”は「矯正科」で、“咬合学”は「補綴科(ほてつか)」という被せものや入れ歯の学問として学びます。
よって、どちらか一つの知識だけでは、適切に治療を行うことは出来ません。矯正学しか学んでいない医師は、咬合学を学んだ医師と共に治療する必要があるということです。
ある矯正専門の歯科医院の広告キャッチに「中学生・高校生なら○○矯正歯科医院」と掲げていました。これは、治療には永久歯の抜歯が伴うので、生え替わりが済んだ中学生・高校生は治療対象でも小学生はNGということになるのです。
また、ある雑誌に「成人の矯正はやってはいけない」という見出しの記事がありました。
なかなかの過激な内容であります。
どちらも絶対NGということではなく、考え方の違いです。
ただ、一般的に永久歯を抜歯した上での矯正治療において“咬合学”として不適切なケースが多いということ。「90%失敗」というデータがあるようです。
それだけ、“矯正学”と“咬合学”を理解した上での治療が成功へのカギと言えます。
いろいろな観点で多角的に治療を進めることが必要であります。独りよがりの治療ではいけないのです。卓越した技術と豊富な知識で「歯並び」と「咬み合わせ」の治療に挑まなければいけません。
私共の医院では、もちろん両方の学問からの広い見地で患者さんと向き合い、よい歯並びと咬み合わせの両方が獲得出来るよう治療を進めております。また常に最新治療情報を学会などから学び、常にその時代にあった最善の方法を提案しております。
院長 島田 実
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我の歯で我の歯を壊す!
2016年07月6日
東洋経済オンライン(東洋経済新報社)・2016年07月02日配信の記事タイトルに、目をひかれました。
「歯を食いしばるクセがある人」に及ぶ悪影響*1、ごもっともです!
冒頭に「普段口を閉じている時、上下の歯はどうなっていますか?」とあります。
いかがですか?
実際に上下の歯が触れていたりすると“歯を食いしばっている”ことが考えられます。
本来は、上下の歯は接触していないのが正常です。
食事、会話から推測すれば「一日の歯の接触時間をトータルすると、平均17.5分(抜粋)」。
ビックリするぐらい短いことになります。
これ以上、食いしばれば、口内にさまざまな影響が出ることになります。
主な影響(本文より抜粋)は、「歯がすり減る、かける」、「歯周病の治療効果が上がらない」、「治療した部分が壊れる」、「肩こりや頭痛の原因となる」。また、遠因には「顎関節症」、「知覚過敏」もあげられます。
そうならないためにも、この記事では以下の療法をおすすめしています。歯を離す・脱力する・口を開けるなどを書いたメモ紙を目につくところに貼って、歯を接触しないように心掛けるみるという「認知行動療法」です。
まず異常であることに自らが気付くことが重要です。
ただし、ある程度の段階まで進み、何らかの不都合が出ている場合は、治療をしなければいけません。
私共の医院では、ナイトガイド(マウスピース)、または「プレオルソ PREORTHO」を使用した治療を推奨しております。
何事も問題が発生するには、その原因があります。
歯科治療にも、前述の主な影響(症状)のようなことにより、ゴールに迎えないことがあります。
このようなにならないためにも、患者さんへのカウンセリング実施し、現状把握に努めております。
この記事を読んで「もしかして…」と気になった方は、ぜひご相談ください。
*1:東洋経済オンライン(東洋経済新報社)
2016年07月02日
「歯を食いしばるクセがある人」に及ぶ悪影響
http://toyokeizai.net/articles/-/123935
院長 島田 実
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“アマルガム”の廃止
2016年04月17日
今年4月1日からの保険制度の改正により、歯科用金属『銀アマルガム用合金』の使用が正式に禁止されました。
人間の身体に害のある毒物『水銀』」からなる合金です。
一般的には、詰め物の金属として使用されていました。
アマルガムの中の『水銀』は不安定で、劣化により、水銀が漏れて、唾液の中に入ります。
唾液中の水銀は口腔粘膜や腸に入って血中に入ります。
また、歯のアマルガムの表面同士が接触すると、水銀が蒸気状になり、それが肺に入ります。
よって、水銀蒸気は、口腔粘膜、呼吸器、臭覚器を通って全身、あるいは脳に至ります。
以上のようなことにより、疲労、頭痛、視覚障害などのその他多く不定愁訴に悩まされることになります。
実際、使用上の注意書きは、内容を疑ってしまいます。
「アマルガムの練和物や水銀は直に触れたり、素手で取り扱わないこと」
「アマルガム製作及び研磨作業は、充分喚起されている場所で行うこと」
「アマルガム充填後は、患者に誤飲させることなく、患者の口腔内を充分清掃すること」
読んでいただくとおり、人間の身体に入れるものとは思えません。
治療現場で、歯科医療関係者も水銀中毒にかかる傾向が高いとも言われてきました。
私もアマルガムを使用した歯があり、取り除くまで「しびれ」がありました。
医療技術の向上により、過去の産物はいとも簡単に捨てられるのですが、それはただ安易なものではなく、“人体に影響を与える”許さざる行為でもあります。
医療に携わる者として、常に確かな治療をしっかり見極めて患者さんへご案内することが私の宿命であると認識しております。
院長 島田 実
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あなたを守る“サージカルガイド”
2016年04月16日
近年、既に他院でインプラント治療を受けた方が私共の医院に来院することが多くなったように感じます。
すると、不適切な位置にインプラントが埋入されていることがあります。
歯科医にとってそのインプラント手術は毎日のことかもしれませんが、
患者さんにとっては10年、20年間、なるべく長期に渡り快適なお口であることを前提にインプラントを選択されたわけです。
その治療は誠にもって、不信感を抱いてしまいます。間違いがあってはなりません。
とはいえ、正確な位置、角度にインプラントを埋入することは容易ではありません。
骨の硬さは均一ではなく、柔らかいところもあれば硬いところもあります。
例えるなら、DIYで木の本棚を作るときに板と板を固定するとき、大工道具のドリルドライバーを使います。
ズレたり、曲がったりしないように、先に小さな穴を空けて行ったり、適切に穴を開けられるよう工夫しますよね?
同様に、私共の医院では全てのインプラント手術において適切にインプラントが埋入する為、ストローマン社製の「サージカルガイド」を使用します。
最終的は歯の形状から逆算したインプラント埋入位置を事前に撮影したCT画像上でシュミレーションし、
手術に必要なデータを集約した「サージカルガイド」を作製した上で手術に臨みます。
作製する為には費用と時間が必要です。その点ではマイナスに感じることもあるかもしれませんが
「サージカルガイド」を用いることでより安全に手術を行うことが出来、かつ手術時間が短縮され
快適にインプラント手術を行うことが出来るなら、その費用と時間は決してマイナスであるとは感じません。
現在“CT撮影した上でインプラント手術を行うことが当たり前”ですが、
それと同じように近い将来“「サージカルガイド」を使用してインプラント手術を行うことが当たり前”になることでしょう。
いや、むしろ早くスタンダードになって欲しいと願います。
院長 島田 実
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みなさんご存知ですか? お得な医療費控除!
2016年04月14日
医療費控除は、自己や自己と生計を一にする配偶者やその他親族のために医療費を支払った場合には、一定の金額の所得控除を受けることができることです。
歯の治療に伴う一般的な費用は、医療費控除の対象になります。では、実際どのような対象となる要件、金額、治療などに対して医療費控除となるかをみてみましょう。
(1)納税者が、自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために支払った医療費であること。
(2)その年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費であること。
医療費控除の対象となる金額は、次の式で計算した金額(最高で200万円)です。
※実際に支払った医療費の合計額-(1)の金額)-(2)の金額
(1)保険金などで補てんされる金額
(例)生命保険契約などで支給される入院費給付金や健康保険などで支給される高額療養費・家族療養費・出産育児一時金など
(注)保険金などで補てんされる金額は、その給付の目的となった医療費の金額を限度として差し引きますので、引ききれない金額が生じた場合であっても他の医療費からは差し引きません。
(2)10万円
(注)その年の総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等5%の金額
(1)歯の治療については、保険のきかないいわゆる自由診療によるものや、高価な材料を使用する場合などがあり治療代がかなり高額になることがあります。このような場合、一般的に支出される水準を著しく超えると認められる特殊なものは医療費控除の対象になりません。現在、金やポーセレンは歯の治療材料として一般的に使用されているといえますから、これらを使った治療の対価は、医療費控除の対象になります。
(2)発育段階にある子供の成長を阻害しないようにするために行う不正咬合の歯列矯正のように、歯列矯正を受ける人の年齢や矯正の目的などからみて歯列矯正が必要と認められる場合の費用は、医療費控除の対象になります。しかし、同じ歯列矯正でも、容ぼうを美化するための費用は、医療費控除の対象になりません。
(3)治療のための通院費も医療費控除の対象になります。小さいお子さんの通院に付添が必要なときなどは、付添人の交通費も通院費に含まれます。通院費は、診察券などで通院した日を確認できるようにしておくとともに金額も記録しておくようにしてください。通院費として認められるのは、交通機関などを利用したときの人的役務の提供の対価ですから、自家用車で通院したときのガソリン代や駐車場代等といったものは、医療費控除の対象になりません。
歯科ローンは、患者が支払うべき治療費を信販会社が立替払をして、その立替分を患者が分割で信販会社に返済していくものです。したがって、信販会社が立替払をした金額は、その患者のその立替払をした年(歯科ローン契約が成立した時)の医療費控除の対象になります。 なお、歯科ローンを利用した場合には、患者の手もとに歯科医の領収書がないことが考えられますが、この場合には、医療費控除を受けるときの添付書類として、歯科ローンの契約書の写しや信販会社の領収書を用意してください。
(注)金利及び手数料相当分は医療費控除の対象になりませんからご注意ください。
(1)治療中に年が変わるときは、それぞれの年に支払った医療費の額が、各年分の医療費控除の対象となります。
(2)健康保険組合などから補てんされる金額がある場合には、その補てんの対象とされる医療費から差し引く必要があります。
・医療費控除に関する事項を記載した確定申告書を所轄税務署長に対して提出してください。
・医療費の支出を証明する書類、例えば領収書などについては、確定申告書に添付するか、確定申告書を提出する際に提示してください。
・また、給与所得のある方は、このほかに給与所得の源泉徴収票(原本)も添付してください。
以上、ふまえて損の無いように一度医療費控除について調べてにましょう。
場合のよっては、高額の控除額になりますので、ぜひ利用するのをお勧めします。
*税についての相談窓口/税務署所在地・案内(富山県)
https://www.nta.go.jp/kanazawa/guide/zeimusho/toyama.htm
◎出典
「No.1128 医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例」(国税庁)
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1128.htm
を加工して作成
「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」(国税庁)
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1120.htm
を加工して作成
院長 島田 実
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10年後、『ここで治療してよかった』と言われる歯科治療を ~HPタイトルの真意~
2016年04月10日
HPタイトルは、私たち常日頃、患者さんとお話する際、頭の中にある思いをHPのメインテーマに込めたいとスタッフ全員で考えました。
歯科治療において、今、その治療が適切かどうかの判断が10年後の自分に大きく影響します。
私共の医院は、応急処置以外の本格的な治療の前にカウンセリングを何度か行います。歯の治療は1度限り、絶対にやり直しが出来ないことがほとんどです。患者さんとの話合う機会を設けることは、もっと考えた上での最良の歯科治療を受けて欲しい…そんな思いからです。
私は、歯科医はただ虫歯を削って詰めるというコンベンショナルな仕事ではないと考えます。歯の治療が不適切であることが歯を悪くするのです。
『安易に歯の治療を受けないこと』。これは皆さんに声を大にしてお願いしたいことです。
治療を進める上で問題に対する原因や治療計画、最終ゴールが見えないままやみくもに歯を削ったりするのは非常に危険です。
具体的な例を挙げます。
歯を1本抜歯したところにインプラントを入れることになりました。しかし他の残る歯もいつ抜歯になってもおかしくない状態です。
つまり、抜けそうな27本の歯の中に1本インプラントをするということです。
そんな馬鹿な話があるか??と思われるかもしれませんが、現状、そう珍しい話ではありません。そしてこの場合、一番の問題は患者自身がそういう状態であることをわかっていないことです。
私は患者のすぐ背中に崖があるのにそれを無視して送り出すことは出来ません。まず崖があることをお知らせし、回避する方法を教えるのが務めであると考えます。
後輩がこんなことをブログで書いてました…『心ある治療をすべきだ』と。
正しくこの通りだと思います。
そのために必要なのはカウンセリングです。
ご自身の現状に向き合い、今後を見つめ直す機会を設けることが治療を進める上で不可欠です。
理解し、納得した上で治療を行う。 そして10年のお付き合いの後、『ここで治療して良かった』と感じて頂けますように。
院長 島田 実
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