なぜ起こる?インプラント周囲炎
2016年12月27日
前回のブログにてインプラントの成功率はメーカーもよって大きな差異があることをお伝えしました。
いくら成功率が高いとはいえ周囲炎にならないということではありません。
ではなぜインプラント周囲炎になるのでしょうか?
なぜインプラントが抜けるのでしょうか?
原因は3つです。
➀細菌感染、②治療設計、③補綴構造(歯の被せ方)の順に説明します。
➀細菌感染…インプラントだけ無敵ということではありません。ご自身の歯同様手入れは必要ですし、定期的なメンテナンスは必要です。
②治療設計…歯が抜けている本数に対して極端にインプラントの本数が少なかったり、その患者さんの咬合力に対応できる設計でなければ上手くいきません。私共が採用するストローマンインプラントの場合は、欠損歯数は部位に対し、何本インプラントが必要か等の統計に基づいた基準があります。
③補綴構造…これは私たち歯科医師や技工士とっての課題になりますが、「インプラントをして歯を入れる」方法はすべて同じではありません。その症例に適した方法を選択すべきです。
インプラントは通常(当院では)、人工の歯根に土台と、その土台を取り付けるネジと、被せ物の3つパーツを取り付け、すべてオーダーメイドの純正品です。
他院にて治療したものでこのパーツがサードパーティー製であったり、粗悪品なものもあります。すると
厄介なことにネジが緩んだり、ネジが取れなかったりと大事になるケースもあります。
10年20年経過しても問題がないように、当院では全てオーダーメイドのパーツを使用しております。
以上、インプラント周囲炎はさまざまなことが原因として考えられます。そのすべてを患者側が確認することは不可能で最後はいかに信頼できる歯科医師と治療を契約するかにあるでしょう。
これは何もインプラントに限ったことではなく、歯科治療全般に言えることです。歯科医院選び、歯科医師との信頼関係の構築は重要です。
院長 島田 実
ページを見る
NHK「インプラント周囲炎」の報道について
2016年12月26日
先月11月8日にNHKで「治療後3年以上のインプラントのうち40%以上がインプラント周囲炎である」というニュースが放送されました。
ネット上では、同業の先生方々が報道に対して異議を唱えているようです。
*1:インプラント周囲炎とは、何らかの原因によりインプラントを支える骨が失われてしまうこと。
インプラント先進国であるスイス、スウェーデンでは、このような報告はされていません。日頃の口内ケアを怠ること、また、最も大きな原因としては使用するインプラントメーカーによると考えます。
当院では、開業当初より現在、インプラント界シェアトップのStraumann(ストローマン)社のストローマンインプラントのみを使用していますが、口内にインプラントが残っている状態は10年後95%、20年後90%と実証されています。
良好な状態を長く維持する上で治療後も自分の口腔内には意識を持ち続けてほしいという点では今回の報道は有効であったと考えますが、ただ、最も重要なインプラントメーカーによって、性能に大きな違いがあるという情報を伝えるべきであると私は考えます。
「インプラント」はどれも同じではなく、「インプラント」によって事情が違うのです。
院長ブログ/2016年3月14日/インプラントメーカーの選択
https://www.chuoshika.jp/diaryblog/2016/03/post_6.html
院長 島田 実
ページを見る
CT検査を生かす
2016年12月21日
どうしてCT(コンピューター断層撮影法)検査をするのか?
CT検査とはご存知の通り、X線(電磁放射線)を利用して身体の内部(断面)を画像化する検査です。高度な歯科治療をする上で必要な情報を得ることが出来、特にインプラント治療においては必須の検査です。
当院ではすべてのケースにおいてCT撮影をした画像データ上で、手術前にインプラント手術のシュミレーションをし、その手術データを集約させたサージカルガイドを用いて手術に臨みます。
*ブログ記事「あなたを守る”サージカルガイド”」(2016年3月22日)参照
サージカルガイドの使用により、最終的に歯を入れて仕上げるところまでを想定した、より高い精度の手術の実現が確実になりました。また、一旦バーチャルで手術を行っていますので、術者としては、実際に手術をする時には2度目の手術のような想定される全ての準備を整えた上で手術に臨むことが出来ます。
放射線による撮影法でありますので、僅かとはいえ、被曝します。しかしながら、この検査によって、治療の精度が高まり、安全に治療が出来ます。CTを撮影し、診断するだけでなく、患者さんの協力を得て知りえた情報を最大限に生かし、「治療の成功」という形でお返しするのは、主治医としての責務であると考えます。
院長 島田 実
ページを見る
崖端の自覚
2016年10月20日
歯科治療は、「道路工事」ではない。
“ただ、穴を埋める”。
“ただ、補修する”。
そういうものではない。
何でもかんでも「やればいいというものではない」と私は思います。
そんなその場限りのことをしていて通用するほど甘くないのです。
同じ歯を、5回治療を繰り返すと「抜歯」に至ると言われている事をご存じですか?
つまり、1回1回の判断の重さを実感して、慎重に治療する必要があります。
日々の診療の中で緊急性の患者は安易に診療されているし、歯科医は安易に診療していると強く感じます。
「歯を抜き、部分入れ歯を使い始めること」を「咬合崩壊を前提とする治療」=「崖からの転落」とするならば、安易な治療の繰り返しは、まるで崖に背を向けそのまま後ろ向きに歩くのと同じです。
理想は危険を回避する手段を選ぶ事ですが、いつでも誰でもその選択が出来ない可能性があることもわかります。
だとすれば、せめて崖まであとどのくらい距離があるのか、現状を確認し、今後の対処の仕方を冷静に考えるべきです。
今何をすべきか。将来どうなりたいのか。
現実に目を背け、後ろ向きに歩き続けるのはあまりに危険です。
私たちとしては、これからも先の治療に追われることなく、10年20年先を見越した治療に向き合えるよう的確なサポートを致します。
院長 島田 実
ページを見る
選ばれる歯科医院に
2016年10月15日
先日、海外に在住中の方が帰省時に私共医院にお越しになりました。
以前から「ちゃんと治療するときは、中央歯科医院に行こうと思っていた」との嬉しいお言葉。
Webサイトでリサーチされての来院でありました。
ご主人の仕事の都合で赴任しているその国は、日本に比べて衛生状態も治安も悪く、しっかりとした治療ができないとのことで、帰省時、短期間で長期的に価値ある治療をしたいというお考えがあったようです。
限られた滞在時間の中で、治療に臨む姿勢は、まさに真剣そのものでありました。何を目的に、今、何をすべきか…すべてご理解をいただいた上で治療を行いました。
生活水準により、歯への思い入れの高さが異なるのでしょう。
確かに、歯の重要性を思い知るには、日本とは全く違う環境下で暮らすことが良いのではと考えてしまいます。
治療への興味、理解、さまざな価値観が今回の出会いにつながったのだと自負しています。
院長 島田 実
ページを見る
不利益な治療とは
2016年09月12日
最近、歯の治療について取り上げたWebニュースが多くなりました。先月、マネーの達人で2016年08月04日に配信された『「銀歯」が歯を失う原因だった… 望まれる評価制度の見直し』*1は、正しく、以前から私たちが患者さんにお話しし続けていた事です。
1)「銀歯」は、国で認められた安心出来る材料だと思っていませんか?
2)保険適応である「銀歯治療」は、国からのお墨付きをもらっているように勘違いしていませんか?
両方とも間違いであります。
そもそも、皆さんが医療保険に加入する国民皆保険制度とは“国民全体が最低限の医療を保障されている制度”です。
ということは…「虫歯治療は、歯を大切にするため」と考えている治療も実際はそうではない可能性があります。記事内にも書かれているとおり、「今までの虫歯治療は歯を大切にすることとは反対の治療を行ってきた」ということなのです。
私共の医院では、日々「患者さんにとって不利益なことはしない」と直接、患者さんにお話しております。
これは、どなたの治療においても常に考えていることです。その治療が今の自分、将来の自分にとって本当に価値あるものなのかをよく考えた上で治療を行うことをお勧めします。
『歯は一度削ると二度と元には戻りません』。
*1:マネーの達人
2016年08月04日
「銀歯」が歯を失う原因だった… 望まれる評価制度の見直し
http://manetatsu.com/2016/08/71662/
院長 島田 実
▼記事に掲載画像です。
ページを見る
元気なうちに歯の治療を
2016年08月17日
先日、78歳の患者さんの歯を16本抜歯しました。
「これで良いのでしょうか?」
これまでの治療の経緯と歯科との関わり方に疑問を抱きます。
「こんな歯、あっても咬めないから抜いてくれ」と本人はそう吐き捨てるように言います。
とはいえ78歳でこれだけ多数の歯を抜くのはリスクも伴うことです。
出来ることなら私もしたくありません。
現在の状態になって当院を訪れるまでこの患者さんは何件もの歯科医院で
“部分入れ歯”を作っては使えず、転院を繰り返してこられました。
健全な歯を残しての治療(部分入れ歯)でさえ上手くいかないのに、
本人が言う「こんな歯」を残して行う治療(部分入れ歯)は上手くいくはずがありません。
結局、残る全ての歯を抜き、“総入れ歯”を作ることにしました。
この患者さんにとってこの状況はある日突然訪れたのではなく、
10年前には予測出来たことなのです。
つまり、68歳時点で治療を理解し、治療を行っておくことで
今こんなに大変な思いをせずに良かったわけですし、
治療の結果も今より良かったはずです。
「もうこの年だから治療しなくていいわ…」と弱気にならず、
「今のうちに治しておこう」と余生の人生をより良くしようと前向きになって頂ける方が
1人でも多くなることを願います。
その為には、信頼できるかかりつけの歯科医院を持ち、生涯に渡り自分のお口の為に、
検診等でプロの意見を聞きながら管理することをお勧めします。
そして元気な時に、適切な治療を受けることが望ましいのです。
院長 島田 実
ページを見る
真面目に歯医者に通い続けた結果が…
2016年08月7日
「歯に痛みを感じて歯医者に通院する」
この一般的なプロセスは間違ってはいませんが、ただ目先の治療だけを追い続けると
「真面目に歯医者に通い続けたのに咬めない」とか、「年々歯の本数が減っていく」と
か、良好な状態を獲得する為の治療ではなく、悪くなるのを見守る治療になってしまいま
す。
原因を追求し、解決しない治療は必ず後にツケが回ってくるのです。
お口の中に起こる問題には必ず原因があります。
外傷を除いては突発的に問題が起こることはそうありません。
治療の前に一度立ち止まり、今までの歯の治療を振り返り、今起きている問題とその原因について向き合うことが必要です。
「ただムシバで空いた穴をつめる」「痛いから神経を抜く」本当にそれでよいのでしょうか?
「迷ったら治療しない」これも選択肢のひとつです。
歯の治療において無駄無く確実であることが重要です。
以下の表は、治療に対しての考え方の目安として参考にしてください。
院長 島田 実
ページを見る
ブリッジは“悪”??
2016年07月6日
『DMFT指数*1』が世界で一番高いのは「日本」である。
要するに、「一番、歯の悪いのは日本人である」ということです。
なぜ、そうなるのか? この数値にはカラクリがあるのです。
例えば、抜歯した場所に対して、ブリッジ治療をするには左右の歯を削る必要があります。
そのために、むし歯では無い、2本の健全な歯はF(治療済み)と診断されます。
このように、意図的に「悪い歯」にしてしまい、DMFT指数を高めているのです。
さらに、このブリッジ治療こそ、“歯”にとって最も早く歯を悪くすることなのです。
ズバリ言うと、「歯の悪くなるのは、こういった 治療のせいである」。
医師の判断(治療方法)は、歯に様々な影響を及ぼすのです。
私共では、近年「ブリッジ」や「部分入れ歯」の治療はほぼ皆無となりました。
患者さんにとって不利益が多いからです。
患者さんにとって負担の少ない適切な治療を促し、さらに口内ケアなどの啓蒙活動も含め、日本人のDMFT指数を下がるよう微力ながら努力して参ります。
院長 島田 実
*1:DMFT指数(永久歯のう蝕を対象)=被検者全員のDMF歯の合計÷被検者数(集団における1人平均DMF歯数を表す)
D=decayed teeth。むし歯。
M=missing teeth。喪失歯。
F=filled teeth。治療済み
T=tooth。歯。
ページを見る
学問として「よい歯並び=よい咬み合わせ」ではない
2016年07月6日
「歯並び」と「咬み合わせ」は歯の配置という意味合いでは、近い存在であり、同じ延長線上にあるものと考えられそうですが、実際は学ぶ学科も、学問的な本質も全く違うのです。
“矯正学”は「矯正科」で、“咬合学”は「補綴科(ほてつか)」という被せものや入れ歯の学問として学びます。
よって、どちらか一つの知識だけでは、適切に治療を行うことは出来ません。矯正学しか学んでいない医師は、咬合学を学んだ医師と共に治療する必要があるということです。
ある矯正専門の歯科医院の広告キャッチに「中学生・高校生なら○○矯正歯科医院」と掲げていました。これは、治療には永久歯の抜歯が伴うので、生え替わりが済んだ中学生・高校生は治療対象でも小学生はNGということになるのです。
また、ある雑誌に「成人の矯正はやってはいけない」という見出しの記事がありました。
なかなかの過激な内容であります。
どちらも絶対NGということではなく、考え方の違いです。
ただ、一般的に永久歯を抜歯した上での矯正治療において“咬合学”として不適切なケースが多いということ。「90%失敗」というデータがあるようです。
それだけ、“矯正学”と“咬合学”を理解した上での治療が成功へのカギと言えます。
いろいろな観点で多角的に治療を進めることが必要であります。独りよがりの治療ではいけないのです。卓越した技術と豊富な知識で「歯並び」と「咬み合わせ」の治療に挑まなければいけません。
私共の医院では、もちろん両方の学問からの広い見地で患者さんと向き合い、よい歯並びと咬み合わせの両方が獲得出来るよう治療を進めております。また常に最新治療情報を学会などから学び、常にその時代にあった最善の方法を提案しております。
院長 島田 実
ページを見る