客は神様の真意とは
2018年09月10日
先日、タクシーに乗車した時のこと。
運転手さんと思わぬ展開から「医療従事者と患者との関係性について」話した出来事を紹介します。
最近、異常に増えたという「クレーマー」について話をしていたところ、その運転手さん曰く「あるキッカケがある」と仰います。
その「キッカケ」とは…少し前に一斉に多くの病院で患者を「○○様」と呼んだり、「患者様」と表現するようになりました。
その頃から世の中全体におかしくなってきたと…
この意見には私も同感です。
私は運転手さんの意見を聞いた時、ふと歌手の三波春夫さんの「お客様は神様です」というフレーズを思い出しました。「患者様」「お客様」という表現に勘違いをしている方はきっと、三波春夫さんの言う「お客様」の真意も勘違いしているのではないでしょうか。
「お客様は神様です」とは、ステージに立つ演者と聴衆・オーディエンス(客席にいらっしゃるお客様)という形の中から生まれたフレーズで、「神前に祈る時のように、お客様を神様とみて、歌を唄う」ということです。
※三波春夫オフィシャルサイト/『お客様は神様です』というフレーズの意味とは
「客は神様なのだから金を払う以上、ある程度の無理な要望は応えるべきだ」と誤った解釈が勘違いした行動や言動に繋がるのはないでしょうか。冷静に考えればこのような意図の間違いに気づくことは、非常に簡単なことです。
私の記憶では患者を「○○様」と最初に呼び始めたのは歯科医院だったように思います。当院でも一時期、取り入れていました。しかし、すぐに違和感に気づき「○○さん」との呼び方に戻しています。「様」から「さん」へと変える…たったそれだけのことですが、呼び方ひとつで相手との関係性は大きく変化します。医療従事者と患者という関係性においては特にそう感じます。
個人的には「お客様」ではなく、「お客さん」で良いと考えます。
タクシーの運転手さんが自分とは違う観点からですが、同じ違和感を感じていたという意見を聞き、少し嬉しく感じました。
どんな呼び方をし、どのような言葉遣いで話をするかはそれぞれに思いがあってのことですが、場合によっては行き過ぎた丁寧な対応が勘違いやお互いの擦れ違いの原因になります。
私自身も「お客さん」の立ち位置で、日ごろの振る舞いを改めて顧みるつもりです。
院長 島田 実
ページを見る
睡眠時無呼吸症候群・いびき・噛み合わせ等の問題を診断します。
2018年08月30日
このたび、新しいレントゲンを導入しました。
ドイツ・シロナ社製、X線で気道の容積を計測するシステム「SICAT AIR」です。気道解析するための世界初の3Dソリューションでさまざまな健康被害の原因となる気道狭窄程度の判定や歯科治療による気道変化や評価の為に有効的とされています。断面図で気道の状況が確認できる優れものです。
導入理由は、「歯科治療と気道の関係」を調べ、治療前後での変化を評価し、治療意義を深く理解し効果を実感し、患者さんに治療意義を深く理解した上で納得してほしいということです。
口内を見ると、呼吸の状態が予想でき、健康状態が分かります。
気道は狭く、息苦しい状態になっていると、多くの場合、睡眠時無呼吸症候群やいびき、噛み合わせ等の問題を抱えていることが殆どです。
当院では、気道や呼吸を配慮した咬合再建治療を行う為、治療によって呼吸が改善し、気道の通りが良くなることが、心身の健康へ大きな影響を与えることを日々の治療を通して実感しています。
口腔内が改善し、呼吸が整うにつれ、重く腫れぼったいまぶたが軽くなり、声や表情が次第に明るくなり、体調不良から思うように社会に出ることが出来なかったという生活が変わったと嬉しそうに話しをされる方が多くいらっしゃいます。そんな変化を目の当たりにするものの、これまで変化の理由を成果として立証することが出来ませんでした。このレントゲンの登場により、画像という確かなデータで、患者さんに伝えることが出来ること、私自身、大変喜びを感じています。
歯が悪いこと、噛み合わせが悪いことが、呼吸に問題をきたし、生きていく上での「リスク」になります。
お口の中の異常や不都合、今後起こりうる問題を過小評価していませんか?
歯科治療の“質”は、あなたの呼吸の“質”を左右します。
院長 島田 実
ページを見る
本当に意味ある治療なのか
2018年04月10日
以前、ニューヨーク大学での症例発表にて外国人の先生からの言葉をふと思い出すことがあります。
日本人歯科医師が発表に対し、9割以上の確率で外国人の先生から
「あなたが行った治療はそもそも介入すべきではない」と意見があがります。
国民の健康の為にと第二次世界大戦後、制定された国民皆保険。
国民皆保険であるがゆえに安易に歯を削り、安易に再治療を受ける…本来ならば、治療費というファクターがなくとも真剣に自分の歯について考えるべきなのですが、そうでないのが現実です。
歯科医師でさえも目先に囚われた結果、患者と一緒に本質を見失う現実を指摘されています。
情けない…の一言です。
「全体で考えれば、わかるはずでしょう」「介入するから、もっと悪くなるのです」
真剣に患者の将来を考え向き合おうと思えば、もっと違う治療内容になるはずだと指摘を受けます。
そして、患者とコンセンサスはとれているのか?
患者が望むからと言って、整合性がとれない治療をやり続けるのか?とも問われます。
あまりに安易で短絡的な歯科治療が多すぎることに疑問を感じるのは私だけでしょうか?
私はただ歯科医師として治す為の介入はすべきと考え、それ以外の目的の患者介入はすべきでないと考えます。なぜならそれは「治療」とは言えないからです。
院長 島田 実
ページを見る
笑顔の理由
2018年04月4日
少し前の話になりますが、今回のオリンピックで再ブレークしたカーリング女子の選手の皆さん。
彼女達の爽やかな笑顔に日本中の誰もが惹かれました。
私もその一人です。試合中の真剣な眼差しはキラキラと輝き、魅力的でした。
あの「目の輝き」の理由は何でしょう。私の分析はこうです。
― 個人個人の役割をしっかり理解している ―
どのコースにストーンを投げるのか。そしてブラシを使って、スイーピングさせて、どのストーンに当てるのか、どこに停止させるのか。すべての動作に理由があり、それを選手の皆さんは、高い水準で理解しています。一人ひとりが頭を使って理解することが重要であると考えます。
― 意味の無い、仕事は無い ―
やっていることに、意味が有るのか? 無いのか?
常に価値ある仕事を自らの意思で行うことで行動に責任と自信が伴います。
以上の2点が彼女達の「目の輝き」であると考えます。
そして、このことは私達の仕事においても同じことが言えます。
一人ひとりのスタッフが個人の役割を理解し、価値ある仕事に全力投球する…まるであのカーリング女子を思い出させるような「目の輝き」を持ったドクター、スタッフであるよう互いに高め合う組織を目指します。
院長 島田 実
ページを見る
「歯科用滅菌器」バカ売れの理由
2018年03月20日
2018年02月6日の当ブログ記事「歯科外来診療環境体制加算」内で紹介しました加算の基準である洗浄・滅菌処理で使用される滅菌器のことについてふれてみます。
加算制度の改定や、行政の抜き打ち調査などにより、駆け込み寺のように滅菌器メーカーに問い合わせや注文が殺到しているそうです。
と、なりますと? 非常に怖いことに気づきませんか??
今、このタイミングで慌てて導入する医院の多くはおそらく、これまで治療器具の徹底した滅菌が出来ていなかったと思われます…「基準が出来たから滅菌する」といったところでしょう。
基準と言っても特別な内容ではなく、自分自身や自分の家族に治療するならと考えれば誰しもが気付くような事だけに残念でなりません…。
例えば、歯科治療に多用されるエアタービンは停止時、口の中の空気や唾液、血液を吸い込みます。その状態で、滅菌せずに次の方のお口の中で使用を開始すると前の患者の唾液や血液が噴射されます。
恐ろしいことです。
歯科医師の立場として言い訳を考えれば、治療器具が滅菌すればするほど劣化は早くなりますし、それに伴った人件費、材料費など「しない理由」も思いつきます。
ただ、歯科医師として以前に人として「正しい」ことは何か。
良心を持って考えれば、今回の基準が出来ても“歯科用滅菌器がバカ売れ”なんてことは起こりえないと考えます。
患者も歯科医師も、もっと一人ひとりが真剣に歯科治療に向かうべきであると強く感じます。
院長 島田 実
ページを見る
「晴れの日」の前にすべきこと
2018年03月10日
日本で「晴れの日」は、特別な日、めでたい日と言われています。
女性にとって、最初の「晴れの日」といえば、「成人式」ではないでしょうか。
晴れ着姿で、式に出席して、懐かしい同級生と久しぶりに再会という、20歳のメインイベント。
この時に、きれいでいたいというのは、誰もが望むこと。
当院に4歳の頃から通っていた患者さんもそう願う一人です。
「来年の成人式の前に親不知を抜きたい」という希望で、数年ぶりに来院しました。
来年に備えて早めに抜歯すれば、成人式の頃には小顔になっているだろう…と期待しているようです。
髪型やネイルなどで着飾る仲間が多いだろうに、骨格から整えようとは19歳ながら計画性の高さと歯科医としては鋭い一手に驚きと喜びを感じます。親不知はいかなる状況でもプラスにはならないトラブルの元凶とも言える存在です。当院では16歳を目安に抜歯を勧めますが、それ以降でもなるべく1歳でも若いうちに、そして出来れば19歳の彼女のように前向きな気持ちで抜歯に臨む方が多くなることを願います。
院長 島田 実
ページを見る
歯列接触癖(Tooth Contacting Habit)
2018年03月8日
食事以外での上下の歯を接触させる癖のことを「TCH(Tooth Contacting Habit=歯列接触癖)」と言います。歯ぎしりやくいしばり、タッピングがその代表的な現象です。
「歯が痛い」という症状に潜む本当の原因とは??
歯の痛みの原因はムシバだけではありません。
本当の原因を見落とすと「歯が痛い⇒神経を抜く⇒痛みがなくなる」という安直な治療に至ります。
もし本当の痛みの原因がムシバではなく、TCH(歯列接触癖)だった場合、この処置を行ったから痛みがなくなったのではなく、処置を行う為に歯を削り、咬合力がかからなくなったから症状が無くなったと言えます。
「歯を削る」「神経を取る」というやり直しがきかない行為を安易に行うことにとても危険に感じます。
TCHが原因の痛みに対し、まず行うとすればナイトガードを装着し、食事以外の上下の歯の接触から歯や歯を支える周りの組織を休めてあげることです。痛みのある間は終日そのように対処してもらうことで大概のケースは症状が緩和します。
痛みの原因は何か?
正しい判断、的確な治療があなたの歯を守ります。
院長 島田 実
ページを見る
骨隆起(こつりゅうき)|咬み合わせ 矯正
2018年02月27日
「骨隆起」とは骨質の局所的過剰発育によって生ずる骨の隆起のことです。
原因は不適切な咬合力がかかることです。
歯ぎしりや食いしばり、咬みしめに代表する意識外での上下の歯の接触は、
まるで歯を支える骨にとって“筋トレ”のようで、毎日の繰り返しにより骨が増強されてしまうのです。
写真は、全体の咬み合わせの歪みを治すために矯正治療と全顎補綴をされた患者さん。
Web内の治療症例でも紹介している方です。
治療の過程で「骨隆起」が僅か3ヵ月で無くなったことが確認出来ます。
これだけの「骨隆起」がなくなると、口腔容積(舌房)が広くなることで身体への良い影響が期待出来ますし、実際、この患者さんも多くの不定愁訴が改善したと喜んでいらっしゃいます。
全ての問題には、必ず原因があります。その原因となる一つ一つを紐解くことが私たち医師の役目と言えるでしょう。
院長 島田 実
ページを見る
睡眠時無呼吸症候群 |いびき 咬み合わせ
2018年02月7日
睡眠中に呼吸が止まる病気「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」。
医学的には「無呼吸( 10秒以上の呼吸停止)がひと晩7時間の睡眠中に30回以上、あるいは1時間に5回以上」ある方は睡眠時無呼吸症候群(SAS)と診断されます。
空気の通り道である上気道が狭くなることが原因です。
舌を収める「舌房(ぜつぼう)」や「ベロの部屋」と呼ばれる空間が狭くなると、居心地の悪い舌は逃げるように気道方向へ落ちていき、常に酸素不足の状態に至ります。そして、いびきをかいてしまいます。SASの原因は、その他、首まわりの脂肪の沈着が多い肥満の方や、扁桃肥大、舌が大きいことや、鼻炎・鼻中隔弯曲といった鼻の病気、または、下顎の後退や、顎が小さいことも原因となります。
2017年09月15日-「舌房」が狭いのは「絶望」-
SASによる弊害はいびきだけでなく、睡眠障害による日中の眠気や高血圧、脳の酸欠による脳梗塞や心筋梗塞など…様々な症状を呈する疾患です。
SASの人は、居眠り運転により交通事故を起こす確率が健常者と比べて7倍多く、8年後の死亡率が正常な方の約10倍となることをご存じでしょうか…
原因に対し的確にアプローチをすることで知らずに近づく死を遠ざけることが出来ます。ただの「いびき」と軽く考えないことです。目の前で起きていることには必ず原因があります。
院長 島田 実
ページを見る
歯科外来診療環境体制加算|滅菌 治療環境
2018年02月6日
当院は昨年末より「歯科外来診療環境体制加算施設」になりました。
この加算制度は、患者にとってより安全で安心できる歯科医療の環境整備を図る観点から、平成 20 年 4 月に新設されましたが、平成28年4月に改定があり、以下の基準をクリアしなければ加算を受けることはできません。
1.偶発症に対する緊急時の対応、医療事故、感染症対策等の医療安全対策に係る研修を修了した常勤の歯科医師が1名以上配置されていること。
2.歯科衛生士が1名以上配置されていること。
3.患者にとって安心で安全な歯科医療環境の提供を行うにつき次の十分な装置・器具等を有していること。
1)自動体外式除細動器(AED)
2)経皮的酸素飽和度測定器(パルスオキシメーター)
3)酸素(人工呼吸・酸素吸入用のもの)
4)血圧計
5)救急蘇生セット
6)歯科用吸引装置
4.診療における偶発症等緊急時に円滑な対応ができるよう、別の保険医療機関との事前の連携体制が確保されていること。ただし、医科歯科併設の保険医療機関にあっては、当該保険医療機関の医科診療科との連携体制が確保されている場合は、この限りでない。
5.口腔内で使用する歯科医療機器等について、患者ごとの交換や、専用の機器を用いた 洗浄・滅菌処理を徹底する等十分な感染症対策を講じていること。
6.感染症患者に対する歯科診療について、ユニットの確保等を含めた診療体制を常時確保していること。
7.歯科用吸引装置等により、歯科ユニット毎に歯牙の切削や義歯の調整、歯の被せ物の 調整時等に飛散する細かな物質を吸収できる環境を確保していること。
8.当該保険医療機関の見やすい場所に、緊急時における連携保険医療機関との連携方法 やその対応及び当該医療機関で取り組んでいる院内感染防止対策等、歯科診療に係る 医療安全管理対策を実施している旨の院内掲示を行っていること。
以上。
実際、当院では審査基準の全てにおいて、10年以上既に行っていた内容です。
当院が独自に設けた感染対策の基準は、患者やスタッフの為、そして歯科医師としての自分自身の為にどのように対策すべきか考えた結果です。診療環境を整えることは適切な治療を進める上でのスタートラインであるとも言えます。世の中の基準をクリアすることは当然のこととして、更に上の基準を医院として設けることで、自分達に常に厳しくあり続けたいと考えます。
院長 島田 実
ページを見る