親知らずは抜いた方が良いのか?
2025年02月26日
「先生、私の親知らずって抜いた方が良いですか?」という問いに対し、当院ではほとんどのケースで抜歯をお勧めしております。
ポイントは「何を優先か」です。
親知らずを除く28本(上14本、下14本)のご自身の歯を生涯通して守り切りたい…つまり「自分の歯を守ること」を優先するなら、親知らずによるあらゆる悪影響を受ける前に抜歯すべきです。
当院では16~18才を抜歯に適した時期としていますが、この年齢を過ぎてしまった方も気づいた時点で早めに抜歯することをお勧めします。
このパノラマレントゲンは20代の男性です。
これまで歯を削ったこともなく、歯並びも軽度の乱れがある程度。おそらく高校生までは「最近こんなキレイな歯の人はなかなかいない」と驚かれるような自慢の口元だったはずです。
しかし、親知らずを放置したことにより自慢の口元がめちゃくちゃに…残念でなりません。
赤い矢印をつけた歯が親知らずです。
上下共に矢印の方向で親知らずが生えようとし、そのストレスにより手前の歯の位置や方向がズレています。
奥歯に引いた黒い線は歯軸(歯の傾きを示したもの)です。
直立した状態で整然と並んでいるのが理想ですが、親知らずの影響を受け、あちこちに歯が傾き、咬み合わせの高い低いが出来ています。
このような状態になると不適切な咬み合わせにより歯や歯周組織が壊れる「咬合性外傷」や顎の動きがスムーズでなくなり「顎関節症」のリスクも高まります。
この状態を更に放置すると、奥歯から順に歯を失うことになりかねません。
ここまで親知らずにより歯並びや咬み合わせが乱れると、修正が大変です。
親知らずを抜歯し、矯正治療により整えることが出来ますが、早めの対策で防ぐことが出来た問題です。
特に過去に矯正経験がある方にとっては親知らずの抜歯時期が遅くなると、治療後の状態を維持することが難しくなってしまいます。
「親知らずがあるけどまだ抜いてない」「親知らずがあるかどうかもわからない…」という方は是非一度確認しましょう。