歯科技工士の危機
2020年09月24日
歯科医療において「歯科技工士」の存在は欠かせません。
特に「咬合再建=咬み合わせの再構築」においては最も重要なポストと言えます。その歯科技工士に今、危機が訪れています。
理由は金属の価格高騰です。
健康保険が適用されるいわゆる「銀歯」は、歯科用貴金属『12%金銀パラジウム合金』が成分で、金12%、パラジウム20%を含んだものとJISで規定されており、他は銀50%前後、銅20%前後、その他金属が数%含まれています。
近頃の情勢の変化により、素材である金属の値が上がり、市場価格の動向に厚生省の診療報酬の見直しが追いつきません。高価な金属代を含む技工料金を安価な診療報酬では賄うことが出来ず、金属を使用する治療を歯科医が避け、結果、歯科技工士の仕事がない…このままでは歯科技工士という職業そのものの存続が危ぶまれる状況とも言えます。
それはつまり良好な歯科治療の存続をも危ぶまれることを指しています。
内容ある歯科治療に対し、歯科医に対する正当な評価、歯科技工士に対する正当な報酬は確保されるべきです。凋落の中だからこそ真の歯科技工士に対する存在意義、評価があって然るべきです。
優秀な人財を失う前に何とか歯科業界全体で「歯科技工士」を支えていきたいものです。
院長 島田 実