8020の先のこと考えていますか?
2019年10月20日
1989年より厚生省(当時)と日本歯科医師会が推進してきた「8020(ハチマルニイマル)運動」をご存じですか?20本以上の歯があれば、食生活にほぼ満足できることから「80歳になっても20本以上自分の歯を保とう」という運動です。
「人生100年時代」と言われる今、この目標が適当なのか疑問です。
なぜなら80歳でどうあるべきかより、80歳からどのように生きるかが現代の高齢者歯科における課題であると考えるからです。
多くの方が80歳までよりも、それ以降の方が本人の意志で通院や治療の選択が困難となります。安易に歯を残すことで80歳を過ぎてから大規模な歯科治療が必要になったり、歯が原因で命の危険を脅かされることもあります。そんな状況を目の当たりにすると、10年前にこうなることを想定し、歯科治療について向き合って欲しかったと、これまでの患者のとの関わり方を後悔することがあります。
このような気持ちになるのは治療者だけでなく、ご家族も同じようです。
「8020」のスローガンを掲げてから約30年。
今やこの目標は「単に歯を抜きたくない」「自分の歯はたくさん残っていた方がいい」という安易な治療を選択したい人のおかしな心の拠り所にしかなっていないようにも思います。
美味しく食事ができ、健康的に老後を過ごす上で口腔の健康維持は必要不可欠です。
どうか老後の計画のひとつに口腔内の自己管理についても考えて頂けるような…100年の人生を健康により良く生きるための新たな健康指針の登場を期待します。
院長 島田 実