治療痕は生きた証
2018年10月6日
かかりつけの医院の閉院や引っ越しで患者自身にとって不本意な転院をしなければならなくなり、当院にお越しになることがあります。
患者の意思によって転院する場合は何らかの「変えたい理由」がありますので、現状が自身の考えと違っていてもこちらの話を聞き入れてもらえることが多いのですが、不本意な転院の場合、かかりつけ医への信頼や思いが邪魔をし、現状が伝わりにくいことがあります。
治療痕を診れば大体の治療履歴が想像出来ます。
それはこれまでの歯医者のかかり方も関係しますが、最も関係するのは「かかりつけ医がどのような仕事をしてきたのか」です。
良くも悪くも歯科治療への考えや思いが全て「今」に露呈してしまいます。
-歯を治療して本当に治そうとしているのか?-
-まさか歯は治らないと思って治す気が無いのか?
そんな思いが感じられると「ずさんな治療の為全部抜くしかない」とか「最悪なことに収拾がつかず治療の施しようがない」などあまりに気の毒で言いにくいことがあります。
そんなの正しい診断ではないとお怒りの方もいるでしょうが、私も人間です。
前医への大きな信頼があればあるほど、嘘はつきませんが、どこか歯切れの悪い結論に行き着いてしまいます。どうしてこんなことになってしまうのか…患者側の気持ちを察すれば、分からなくて当然なのかもしれません。
私が出来ることとすれば、治療結果が患者の身体に永久に残り、治療痕はまさに私の「生きた証」と心得、常に真剣に患者と向き合うことです。患者に嘘はつかない、常に正直で本当を伝える歯科医であり続けます。
院長 島田 実