咬合診断はなぜ必要なのか
2024年11月18日
「この世の中には、2つだけ不幸なことがある。
まず1つは、正しい情報を持っていないということ。そして2つめは自分が何をしたいかとわかっているにもかかわらず、挑戦しないこと。」
これはパイロットを目指し、高校から専門的に勉強を始め大学に進学した矢先、交通事故で右目の視力を完全に失った青年が恩師に掛けられた言葉です。
日本では片目の視力のみではパイロットを取得する為の身体検査をクリアできないため、失明が分かった時点でパイロットの夢は諦めたそうです。
空への情熱を捨てきれなかった彼は、航空安全を学ぶために渡米し、出逢った恩師から「夢を諦めるな」と背中を押してもらったそうです。
そして、事故から7年、アメリカでパイロットになる夢を叶えたのです。
失明後も空の仕事に携わりたいと勉強を続けた本人の努力の賜物であること言うまでもありませんが、それ以上に恩師の助言を素直に聞き入れ「正しい情報にアクセスしたこと」が彼の人生を変えたと言えるでしょう。
私はどこか歯の治療も似ている気がします。
「正しい情報を知らないこと」と「無目的に本質を欠いた治療をし続けること」は不幸としか言いようがありません。
より良い口腔を獲得する為に必要なことはまず「正しい情報を知ること」です。
当院では治療前に必ず「咬合診断」を行います。
これは患者が「正しい情報を知ること」を目的としており、「現状を受け止め必要な治療を理解するため」の大切な時間と考えています。
レントゲン写真撮影等必要な検査を行い、1~2週間後に診断結果と治療についてお話します。
説明の所要時間は45~60分程度です。
死ぬまで人生を共にするご自身の口腔の現状とこれからを一緒に考えませんか?
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メンテナンスの目的とは
2023年10月18日
メンテナンスって何でしょう…皆さん考えたことありますか?
メンテンスの意味や「なぜメンテンスが必要なのか」目的を考えたことはありますか?
私は10年ぶりに来院した患者さんの口腔内を診て衝撃を受けました。
20年前に初めて当院にお見えになった60代の男性。
完璧な治療ではないものの、1~2年おきに最低限の手当を施しながら何とか「咬める」状態を保っていました。
本人の都合で「近くの歯医者でメンテナンスを受けていました」とのことですが、かかりつけ医では対応しきれず再度当院への受診を促されたそうです。
10年の間に5本抜歯をし、1本のみインプラントを追加。
4本抜髄(神経を取る)を行い、上の前歯は欠けたり、グラグラしている状態でした。
現状に至るのはかかりつけ医と本人の合意の元…とはいえ、結果「咬めない」上にお手上げ状態となれば患者は混乱します。
患者が考える「メンテナンス」とかかりつけ医が考える「メンテナンス」の目的は一致していたのでしょうか?
「メンテナンス」を辞書で調べると「維持。保守。管理。」と書いてあります。
「維持」とは物事を現在の状態のままに持続すること。もちこたえること。
「保守」とは正常な状態を保ち、それが損じないようにすること。
「管理」とはものの状態、性質などが変わらないよう保ち続けること。
当院は患者に対し、時に厳しく指導をすることがあります。
それは、歯やインプラントが置かれる過酷な環境の中で現状を「守る」ことはとても大変なことだからです。
考え方によっては治療を行うことより治療後の状態を「守る」つまりメンテンスをすることの方が難しいことと言えるでしょう。
私はよく治療を終えた患者に「ここからがスタートですよ」と話します。
病的な状態を抜け出し、健康な状態になってからが「本当のスタート」です。
あなたはどのような目的でメンテナンスを受けていますか?
あなたがメンテナンスをお願いするドクターはあなたと同じゴールを目指していますか?
私は患者を当院に縛りつけるつもりはありません。
ただ、もう救いようがない深刻な状態になって再来院…が心配なのです。
メンテンスの目的をかかりつけ医と共に確認しながら口腔ケアを行いましょう。
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インプラント選びは「メーカー」選び
2023年10月13日
「インプラント」と一口に言ってもどの歯科医院で行っても同じ結果が得られるわけではないことをご存知ですか?
単刀直入に言います。
インプラント成功率の違いは「インプラントメーカー」の違いです。
当院では開業時よりスイスの「ストローマン社」のインプラントのみを使用しております。
「ストローマン社」一筋です。
「ストローマン社」のインプラントの研究・開発には50年以上の歴史があり、今や世界70カ国以上で使用され、100以上あるインプラントメーカーの世界トップシェアとなりました。
ストローマンインプラントは10年後の生存率は95%以上、20年後の生存率は90%以上との臨床研究結果があり、長期的な安定性が証明されたメーカーです。長期予後つまり「長持ちするインプラント」を選択するなら「ストローマン社」製を選ぶべきです。
当院では15~20年経過し、咬耗したり劣化した補綴物(被せ物)を取り替える治療を日常的に行っていますが、実はこのような治療が出来るのも高品質であるストローマンインプラントだからこそと言えるでしょう。
治療を成功に導くのはドクター一人の力だけではありません。
治療機器や材料の選択は確かな治療を行う上で「基礎」となる部分です。私はストローマンインプラントを選択してよかったと心から思います。
15年以上の長期症例においては、ストローマンインプラントが2ピース(2つのパーツで構成)であることに救われます。
人工の歯根と被せ物を入れる為の土台が一体(1ピース)の場合とは違い、人工の歯根から土台を取り外すことの出来る(2ピース)場合、口腔内の変化に伴いインプラントの使い方を変化させることが出来ます。
残りの人生、インプラントも自分の歯も全て維持し続けることはそう容易いことではありません。
失った歯を再度インプラントで補った場合の設計変更や、義歯へと方針を変更した場合の対応も2ピースだからこそ外科処置を伴わず速やかに行うことが出来ます。
また、「ストローマン社」の長い歴史が支える確かな製品と技術が途切れることなく安定供給されることで、長期症例においても対応が可能です。
安価な模倣品のようなインプラントではメーカーが廃業し、パーツが供給されなくなってしまった…という事も少なくないそうです。
「インプラントは抜ける」「インプラントは長持ちしない」「インプラントはやめた方がいい」などネガティブな意見を耳にした時はぜひどのメーカーのインプラントであるか、確認してみましょう。
「ストローマン社」製のインプラントではないはず…「インプラント選びはメーカー選び」です。
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6thオピニオン⁈
2023年10月4日
アメリカ、メジャーリーグ・エンゼルスの大谷翔平選手は右肘の手術をめぐり6人の医師にセカンドオピニオンを求めたと報道されています。
「セカンドオピニオン」とは診断や治療の選択などについて主治医以外の医師の意見を聞き、参考にすることです。
大谷選手にとって怪我は今後の野球人生に関わる重要問題です。
複数の医師の意見を求めるのは彼の野球への熱意の表れのようにも感じます。
歯は誰にとっても健康的に生きる為の重要な役割を担っていると考えます。
それにも関わらず、あまりに治療や手入れがぞんざいではないでしょうか。
私は歯科治療においても「セカンドオピニオン」を受けることは重要だと考えます。
ただ、前提として「ファーストオピニオン」を大切にしましょう。
まずは主治医による「ファーストオピニオン」を十分理解出来ずに「セカンドオピニオン」を受けても、何がご自身にとって最善の策であるか判断することはできないでしょう。
様々な意見に耳を傾け、理解を深めることは重要ですが、いたずらに多くの情報を集めても意味はありません。
近頃は「自分にとって嫌な意見だから」と浅い理解と思いつきで「セカンドオピニオン」を求める患者が多いように思います。「単なる自分に同調してくれる先生探し」は本来の目的とは異なります。
「セカンドオピニオン」から得られる最大のメリットは「病気と治療に詳しくなることができる」ことです。「別の治療方法を知ることが出来る」ことや「主治医と違う視点で意見をもらえる」ことで治療に対する理解が深まり、納得して治療に臨むことが出来ます。
大谷選手のようにどうか自身の歯や口腔の健康に対し、真剣に向き合う患者が一人でも増えることを願っています。
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庭じまい
2023年09月14日
「庭じまい」とは、管理者の事情や家族へ配慮から庭を整理することを言います。
「残す庭木」と「処分する庭木」を選別し、庭石を除去し、庭池を埋め、庭一面をコンクリートで固めることもあれば、手入れが楽な状態に変化させることもあります。
「終い」とはいえ、時間と労力、そして経済的負担が掛かることです。
それでも庭を維持する為の剪定や消毒・たい肥・除草等の負担を考え、庭の終活とも言える「庭じまい」を行うようです。
庭の規模にもよりますが、庭の維持費は年間15~20万から100万円以上。
眺めれば心安らぐ存在ではありますが、経済的な面だけを考えても管理者の「負担」であることは間違いないでしょう。
私は「庭じまい」が「歯の治療」、特に「インプラント治療」の考え方によく似ていると考えます。
「残す歯」と「抜歯する歯」、「使い続けるインプラント」と「もう諦めるインプラント」…
大切な自分の歯を失い、何とかしようとインプラント治療を決意するタイミングで「インプラントじまい」をすることは考えにくいかもしれませんが、最終的な末路まで考え、付き合っていく必要があるのではないでしょうか。
当院では、特に年配な方とこのような話し合いになることが多く「歯は人生だね…」と呟いた患者さんもいます。
まさにそうだと思います。
歯について思考が深まれば、結果、自身の今後の人生を考えることになるのです。
歯やインプラントを維持には理解力と経済力が必要です。
都度インプラント治療を行ったものの、いざ終おうとした時に困る…という状況は避けたいものです。
開業以来当院が採用しているストローマン社製インプラントの場合、再補綴(被せ直し)や義歯移行が可能な構造ですが、どのメーカーもそうとは限りません。皆さん把握していますか?
「今が良ければそれでいい」という短絡的な考えで安易な歯科治療を繰り返すことは危険です。
慎重に、丁寧に歯科治療を行いませんか。
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Yahooニュースより 歯医者で「虫歯ですね」といわれてもすぐに治療してはいけない理由
2022年07月5日
日常の診療において
「安易な治療はしない方がいい」
「治療はよく考えて」
と話しても残念ながら真意が伝えらず
「虫歯を治療してくれなかった」と誤解されることも少なくありません。
そんな私の気持ちを代弁してくれるような記事をみつけましたので一部を紹介します。
2022年7月1日㈮配信されたYahooニュースです。
「週刊現代」2022年6月25日号より
―政府が「国民皆歯科健診」の導入に向け動き出す一方、本当に健診で日本人の歯は守られるのだろうか―という問題提起からこの記事は始まります。
私も同感です。
事実、歯科治療で用いられてきた金属の値段が高騰し、代替として樹脂が用いられるよになった結果、「保険診療で白い詰め物が出来る」と大量の樹脂の詰めものをした若者の口腔内を診ることが増えました。
樹脂は使い方を間違えなければメリットも多く、現代の歯科治療においては無くてはならない材料です。
しかし、安易な歯科治療の武器にしてしまうと「歯垢がつきやすい」「変色する」「口臭の原因になる」「擦り減る」など、患者さんにとってデメリットが目立つ結果になってしまいます。
そして何より安易に「歯を削るから虫歯になる」のです。
歯は削らないに越したことはありません。
人生100年時代…20代までに歯を削ると人生の後半、歯科治療に追われることになります。
記事の中に「一見、歯の治療を行っているように見えても、長期的には自分の歯や健康を失うことになる」とあります。
まさにその通りです。
長期的に見て、価値ある治療をしたい…それだけです。
1度きりの人生、歯で悩み続けるのはやめませんか?
【注意】記事の閲覧には期限があります。
一人でも多くの方に記事を見て頂きたいのでURLをご案内します▶▶歯医者で「虫歯ですね」といわれても、すぐに治療してはいけない理由(現代ビジネス) – Yahoo!ニュース
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初診オンライン相談のススメ
2022年04月1日
歯科治療においてオンラインは不向きだと考える方は少なくないのではないでしょうか…
私は歯科治療こそオンラインが有用であり、今や当院にとって不可欠な診療スタイルだと考えます。
初診オンライン相談の目的は「ミスマッチを防ぐこと」です。
オンライン診療で歯の治療は出来ませんので、急性症状のある方には不適当です。
ただし、それ以外の方にとって特に初診時は、治療すること以上によく主治医と話すことが重要だと考えます。
歯科治療は大半の処置が「一度きり」「やり直しがきかない」ことです。齟齬があるまま治療を進めることは非常に危険です。
医院にお越しになる前にオンライン相談を受け、自分が求めている歯科医院なのかどうかお考えの上、来院するかどうかを判断してください。
また、「歯科医院が苦手」「歯科医院に行くだけで緊張する…」という方にもお勧めです。
不安や悩み、希望があっても、その思いを歯科医院で専門家に話すのはとても勇気が必要なことです。
オンライン相談の場合、画面越しにテレビ電話をするような感覚で話すことが出来ます。
落ち着いて話しをしているからか、私としては来院した初めてお話をする以上の成果をあると感じています。
初診オンライン相談の申込▶https://preview.studio.site/live/BXaxEyrgW7/1
現役歯科医師が監修する口腔WEBマガジン「歯科オンラインホームドクター」にて、オンライン診療の有用性についての取材を受けました。
当院インタビュー記事はこちら▶【インタビュー】歯科オンライン相談の活用方法は?メリットもたくさん!
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歯科治療によるAir Way(気道確保)
2022年04月1日
⻭並びが悪いと喉の空気の通り道が狭くなり全⾝が酸素不⾜になってしまうというリスクがあります。
そこで、近年では” ⻭科治療による気道の確保” という考え⽅に注⽬が集まっています。
⻭並びの悪さが原因で不定愁訴などの全⾝の健康に悪影響をもたらすことが多いのですが、⼀般的にはまだ良く知られていません。
⻭科治療によるAir Way(気道確保)とは
⻭科治療による気道の確保とは、理想的な咬み合わせで気道を確保するということです。
⻭がU字型にきれいに並んで、かつちょうど良い⾼さの咬み合わせならば、⾆は正常な状態を保てます。しかし、⻭並びと⻭の咬み合わせの調和が取れていないと、咬み合わせが悪いと酸素をうまく取り⼊れることができません。⻭科治療にとって気道の確保は、吸いこんだ酸素を全⾝にうまく送り出せるかどうかの重要なポイントなのです。
⾆房(ぜつぼう)を確保する重要性
⻭科治療では、⻭列の内側にある⼝腔の容積を広げて⾆房を確保することが重要です。⾆房とは⾆の房、つまり⾆を収めるベロの部屋のことです。
⾆房がしっかりとあれば、⼝を閉じている時に⾆先が上の前⻭の裏の⻭茎に軽く触れ、⾆全体は上顎にくっついている状態になります。
しかし、⾆房が狭いと、⾆の居場所がなくなり喉の奥の⽅に⾏くしかありません。結果として気道が⾆で塞がれて空気が通る道が細くなり、呼吸がしづらくなります。
⾆房が狭くなると起こりうるリスク
⾆房が狭くなると1 回に吸える酸素が少なくなり、酸素不⾜に陥ります。
⾆房が狭くことで起こりうる健康被害は、以下のものです。
偏頭痛 ・睡眠障害疲労感・慢性的な冷え性・肩や⾸のこり・ 腰痛・顎関節症・ 顔のゆがみ・喘息
⾆房が狭くなると酸素不⾜になります。酸素不⾜になると血流に乗って届くはずの新鮮な酸素が不⾜し、末端に⾏く頃にはなくなってしまうので⼿⾜が冷えます。
⻭並びの悪さや⾆房の異常は神経系や⾻の歪みなどにも影響し、顔⾯や⾸から下のあらゆる器官に影響が出てしまうのです。
⾆房が狭くなる2つの理由
では、なぜ⾆房が狭くなるのでしょうか。その理由は以下の2 つです。
【理由 その1】⾆に問題がある
⾆は筋⾁の塊です。しかし、⾆に⼗分な筋⼒がないと⾆房が狭くなってしまいます。
⾚ちゃんは⾆で乳⾸をしごいて⺟乳を飲みます。⺟乳が終わっても唾液を飲み込むという⾏為によって、⾆の筋⾁は発達していきます。⾆は⼝内を広げ、あごの成⻑も促します。
唾液がたくさん出れば唾液もたくさん飲むことができますが、唾液はあごを使わないと作られません。⼤きな唾液腺はあごの周辺にあるからです。柔らかいものばかり⾷べていると、⼗分に唾液を飲むことができなくなります。そのため⾆の筋⼒が⼗分に発達できず、⾆房が狭くなってしまうのです。
⾆の筋⼒が⼗分に育たないまま⼤⼈になり、さらに加齢に伴う筋⼒の低下でさらに問題が顕著化すると⾔われています。「誤嚥性肺炎」も⽼⼈になってから発⽣する問題ではなく、幼少期からの問題が⽼⼈になってから表⾯化しただけだという説もあります。
【理由 その2】間違った矯正治療
実は、間違った矯正治療でも⾆房が狭くなってしまうことがあります。⻭列をただきれいに並べるだけの矯正治療は、⾆との調和がうまくいかず⾆房を狭くしてしまうのです。
⼈⼯的に無理やり作られた⻭列では⼝内の空間が狭くなることがあります。その状態では⾆が左右の⻭にギュウギュウ押されて盛り上がります。
悪いことに、今まで⾃⼒で⻭を並べることができなかった筋⼒のない⾆は後⽅( 喉の⽅) に押しやられてしまい、その結果気道が狭くなって細い笛のようになってしまうのです。
気道確保を前提とする最良の矯正⻭科の選び⽅
気道確保を前提とする最良の矯正⻭科を選ぶには、治療前のカウンセリングで咬み合わせの重要性や気道確保について説明をしているかどうかをチェックすることです。
上記のような矯正⻭科は、「Air Way Dentistr y」をしっかりと理解しています。
「Air Way Dentistry」とは気道確保を中⼼に⾏う⻭科治療のこと。
「Air Way Dentistry」では、これまで説明してきたように、適切な咬合⾼径( 咬み合わせの⾼さ) をすることが重要と考えています。もしも、適切な咬み合わせの⾼さ( 咬合⾼径) の確保なく場当たり的な治療を繰り返すと、⼝内の⾼さを失うことになり、⾆房が狭くなることにつながります。
すると、「舌房が狭くなると起こりうるリスク」でお伝えしたような様々な健康被害が出てしまうのです。
つまり、安易な抜⻭や⾆房に配慮がない治療は、健康被害を招くということです。
「Air Way Dentistry」を理解している矯正⻭科は、これらのことを分かりやすく説明してくれるはずです。
「咬み合わせが⼤切」というのはどの⻭科医院でも⾔うことですが、なぜ咬み合わせが⼤切なのか詳しい説明がなければ、こちらから聞いてみましょう。もしも、内容まで詳しく説明できないようであれば、別の⻭科医院を検討しましょう。
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正しい噛み合わせ「アングルの分類」とは?
2022年01月31日
正しい噛み合わせ「アングルの分類」 とは?⻭を⻑持ちさせる⼤事なこと
⻭医者さんに「噛み合わせが悪い。この状態は、アングルの分類Ⅱ級」と診断されて「えっ? アングルの分類? 何のこと?」と疑問に思ったことがはありませんか?
矯正などの専⾨分野の⻭科医は、患者さんに知識があることを前提として話される場合があり、基礎的な説明をしてくれずに話が進んでしまうことがあります。
そうなると患者は、「なぜ、噛み合わせが悪いと⾔われたんだろう? でも⻭医者さんがいうなら悪いのかな」と、しっかり理解できないまま治療を受けることになってしまうことになってしまいがちです。
この記事では、矯正⻭科の専⾨医の説明が理解しやすくなるようにアングルの分類について解説します。
アングル分類って何?どこから考えられたことなの?
噛み合わせの異常(不正咬合)を診断するための指標
アングルの分類とは、噛み合わせの診断を⾏う際の基準です。
アングルの分類に当てはまるかどうかをチェックすることで、出っ⻭や受け⼝などの噛み合わせの異常( 不正咬合) を素早く診断できます。
アメリカの矯正⻭科医 Dr. アングルが考案
アングルの分類は、1903 年にアメリカの矯正⻭科医、エドワード・アングル博⼠が考案しました。
現在も、Dr. アングルの名前を冠したアングル矯正⻭科医学会が存在しており、世界の矯正学会でも最⾼権威を誇る学会です。
⻭科で「嚙み合わせが悪い」といわれた!どこを診て判断しているの?
⾒た⽬だけが問題ではない
誤解されがちなのですが、噛み合わせというのは、横の⻭並びのことではありません。上下の奥⻭が正しく噛み合っていることをいいます。 そのため、鏡で⾒ただけでは「特に⻭並びに問題があるように思わないけれど?」という疑問が出てくることがあるのです。もちろん、⾒た⽬で明らかに異常と分かる不正咬合のケースも多いです。
上下の第⼀⼤⾅⻭の位置関係を⾒ている
⻭科医が「噛み合わせが悪い」という判断をするのは、どこを⾒ているのかというと、⾃分で鏡を⾒ただけでは判断しにくい奥⻭の上下の「第⼀⼤⾅⻭」の位置関係を⾒ています。
第⼀⼤⾅⻭は、乳⻭の⻭列の後に、⼀番最初に⽣えてくる永久⻭です。
6〜7歳ころ⽣えてくるため6 歳⾅⻭とも呼ばれています。親知らずを含まずに数えると、奥から2 番⽬の⻭です。
この、上下の第⼀⼤⾅⻭が正常に噛み合っている状態を「噛み合わせが良い」といいます。ここにズレが⽣じていると「噛み合わせが悪い」という診断になるのです。
アングル分類の基準とは?
アングルの分類にはⅠ級・Ⅱ級・Ⅲ級があります。
上下の第⼀⼤⾅⻭の噛み合い⽅を基準に、何級に当てはまるのか診断されます。
それぞれがどんな⻭並びの状態を指すのか説明します。
【アングルⅠ級】
アングルのⅠ級は、正常な噛み合わせです。
上下の第⼀⼤⾅⻭が、正しい位置で咬合している状態です。
【アングルⅡ級】
出っ⻭は、アングルⅡ級です。上の第⼀⼤⾅⻭が前に出て、下の上下第
⼀⼤⾅⻭が後に下がっていて、噛み合う位置にズレが⽣じている状態です。
【アングルⅢ級】
受け⼝といわれる状態が、アングルⅢ級です。
下の第⼀⼤⾅⻭が、上の第⼀⼤⾅⻭よりも前⽅の⻭と噛み合っています。
⻭を⻑持ちさせるために⼤事なことって何?
⻭周病や⾍⻭を早期発⾒し、適切に対処する
⻭を健康に保つためには、⾍⻭や⻭周病を早期に発⾒し適切に対処することが⼤切です。
正しい噛み合わせの基準になる 上下第⼀⼤⾅⻭は、6 歳⾅⻭と呼ばれていて、⼀番初めに⽣えてくる永久⻭です。
この6 歳⾅⻭は、とても⾍⻭になりやすい⻭です。6 歳⾅⻭が⾍⻭にならないようにケアできていれば、⼀⽣、⾍⻭と縁のない⽣活を送れるといわれているほどです。
現在、70 歳をすぎて⾍⻭の少ない健康なお⼝を維持できている⼈は、⼦どもの頃に⾍⻭にならないよう、⽢いものを⾷べすぎない、⻭磨きをするなど、ケアが⾏き届いていた⼈であると考えられます。
適切な噛み合わせに整える
アングルⅡ級やⅢ級の状態であれば、噛み合わせがずれていて⻭並びはガタガタ、⼝の中には⻭磨きしづらい部分がたくさんあって⻭垢や⻭⽯が溜まっていきます。
磨き残しを減らすためにも、適切な噛み合わせに整えておくことが⼤切です。
⼩さい⼦どもの頃から矯正治療を始めれば、簡単なトレーニングのような矯正法で将来の⼝内環境を整えることができます。
お⼝の中の状態や治療のスタートに最適な時期は、⼀⼈ひとり違いま す。適切に治療を進めるためにも、早めに⼩児⻭科に相談に⾏きましょう。
もちろん、既に⼤⼈になっていても遅くはありません。⾼齢者も同じです。
気付いた時に、できるだけ早く⻭並びを正常なかたちに整え、適切なケアを⾏うことが⼤切です。
適切なプロケア+ホームケア
⻭の健康維持の基本は、毎⽇の⻭磨きです。⾷後、そして寝る前には必ず⻭を磨きましょう。
1 ⽇1 回以上は、デンタルフロスなどの⻭間ケアアイテムを追加し、念⼊りなブラッシングを⾏うようにしてください。
そして、ホームケアで落としきれない蓄積汚れは、⻭科の専⾨的なケアできれいに清掃します。
お⼝の状態によって異なりますが、健康な⼈なら3 カ⽉〜半年に⼀度、少し⻭の健康に不安がある⽅なら1〜2 カ⽉に⼀度の定期検診とクリーニングを受けましょう。
細菌と⼒のコントロール
⻭を⻑持ちさせるためには、細菌を少なくして⼝内をキレイにすることと、正しい噛み合わせをつくり、⻭に余計な負荷をかけないことが⼤切です。
⼝内の清掃状態を評価する指標をプラークコントロールレコード( PCR) といいますが、20 % 以下が理想です。けれども、毎⽇の⻭磨きだけで20 % 以下を達成するのは⾮常に難しいことです。
⻭ブラシの⽑先がどうしても届かない⻭と⻭ぐきの境⽬、⻭と⻭のすき間、⻭のデコボコの間などにも汚れが溜まっていて、細菌の棲み処になっているからです。
PCR 20 % 以下を達成して⻭を⻑持ちさせるためにも、定期的に⻭科に通院し、メンテナンスを受けましょう。
アングルⅠ級をめざして⻭の健康を守り⻑持ちさせよう!
w r i te r
⿃本典世( ナチュラル・ハーモニー)
⻭科ライティング実績1 0 0 0 件以上のライター・ディレクタ
ー。管理栄養⼠の分野も得意。株式会社リクルートにて求⼈・結婚メディアの制作を経て独⽴。現在、⻭科ライターチームを育成中。都道府県主催テレワーク講座にも登壇
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オーラルリハビリテーション(咬合再構成)とは
2022年01月11日
「咬合再構成って何?」
「咬合再構築ってどんなことをするの?」
⻭医者で矯正治療や審美治療の相談をしたら、咬合再構成や咬合再構築を勧められる場合があります。ただし、あまり聞き慣れない⾔葉なの で、「それは何?」と⼾惑ってしまう⽅も多いでしょう。
咬合再構成も咬合再構築も同じ意味を⽰す⾔葉で、⼝腔全体を包括的に考えて⾏う⻭科治療のことです。
咬合再構成とは
咬合再構成は、冒頭でも触れたように⼝腔全体を包括的に治療することです。
咬合再構成はどんな考え⽅で、何をゴールとして⾏うのかを詳しく説明します。
咬合再構成は⼝腔全体を1単位と考える
⻭の治療は通常、⾍⻭ができれば⾍⻭治療、⻭並びが悪ければ矯正治療というように、個別に対応するのが⼀般的ですしかし、それでは弊害が起こる場合があります。例えば以下のような例があります。
・⾍⻭は治ったけれど全体の⻭並びは悪いまま
・⾍⻭は治ったけれど顎が痛い
・矯正治療が終わって数年後に咬み合わせが悪くなった
ほとんどの⻭医者の場合、将来を⾒越して治療をしますが、中にはその症状だけを改善するような治療をする⻭医者もいます。すると、例に挙げたようなトラブルが発⽣してしまうのです。
咬合再構成は⼝腔全体を1 単位として考えるので、機能⾯と審美⾯の両⽅が最終的に理想の状態になるように様々な治療をしていきます。
咬合再構成(オーラルリハビリテーション)の⽬的は咬み合わせを改善すること
咬合再構成はオーラルリハビリテーションとも呼ばれています。といっても、怪我や病気をした後のリハビリテーションとは少し異なります。咬合再構成( オーラルリハビリテーション) の最終⽬的は、咬み合わせを改善することです。咬み合わせは全⾝に強く影響します。
咬み合わせが悪いと左右の顎⾻のバランスが崩れます。その影響で背⾻が歪むと、肩こりや頭痛、腰痛などを引き起こします。咬合再構成で上下の咬み合わせのバランスを整えることで、⻑期的に⻭や体全体の健康が保てるようになるのです。
そのため、咬合再構成はオーラルリハビリテーション(全体的な改善)と考えられています。
咬合再構成(オーラルリハビリテーション)で⾏う治療とは?
咬合再構成は⻭周病や根管治療、矯正、補綴、義⻭などあらゆる分野の⻭科治療を組み合わせて⾏います。
必要な治療は⼈によって異なりますが、まずは⾍⻭や⻭周病などを調 べ、必要な治療をトータル的に考えて、⼤きく以下の順番で⾏います。
1歯周病治療
2虫歯治療
3矯正治療
4インプラント治療
5補綴治療
なぜこの順番でするのかというと、効率よく⼝腔全体を整えて最終的な咬み合わせにできるからです。
咬合再構成( オーラルリハビリテーション) は、よく家のリフォームに例えられます。ここでも、家のリフォームになぞらえて説明していきますね。
1 ⻭周病治療
家をリフォームするためには、家の中を⽚付けて環境整備をしなければなりません。まずは家具家財をどけて掃除し、リフォームのための環境を整えます。
⼝の中の場合は、⻭周病があれば最初に⻭周病を治療します。⻭周病は⻭や⾻を溶かしてしまうため、⻭周病菌が⼝の中に存在するとほかを⼯事する先から崩れていってしまうからです。
家の中に不要なものがあるとリフォームがうまく進まないように、⼝の中に⻭周病があると次の段階の治療がでかないので、まずは⻭周病から治療していきます。
2 ⾍⻭治療
家の中の環境が整ったら、次は古くなった設備の修復です。傷んだ柱があると柱が倒れて家全体が倒壊する危険があるため、古くなった柱を修復します。
⻭を柱に⾒⽴てると、修復が必要な柱( ⾍⻭) はシロアリ被害や経年劣化で傷んでいる状態の⻭です。⾍⻭がある場合は家全体( ⼝腔全体) が倒壊しないように、修復( ⾍⻭の治療) を⾏います。
3 矯正治療|傾いた柱を修復する
家の中で柱が傾いていると、全体のバランスが崩れて家をきちんと⽀えることができません。壁も屋根も傾いてしまいます。
⻭も⻭並びや上下の咬み合わせのバランスが悪いと、修復( 矯正治療) が必要です。⻭が前後や斜めに傾いている場合は、矯正治療を⾏いま す。
4 インプラント治療
家をリフォームする際に強度が⾜りない場合は、柱を追加して頑丈な家にします。
⼝内でも、⻭周病や事故などで⻭を失ってしまった場合は、インプラント治療を検討します。
インプラント治療とは、⻭ぐきの下の⾻に⼈⼯的な⻭の根を直接埋め込み、その上に⼈⼯⻭をつける治療のことです。
5 補綴治療
家の構造が整ったら、最後に仕上げで内装や外装を施します。内装は快適に過ごすため、外装は⾬⾵から家を守るために必要です。
⼝内の場合では、内装や外装は補綴治療にあたります。⽋けている⻭や被せ物が取れたままの⻭があれば、補綴治療( 被せ物) を⾏って隙間をなくします。補綴治療をすると細菌が⼊りにくくなって⾍⻭や⻭周病になりにくくなる他、ブラッシングもしやすくなります。
咬合再構成をする際の良い⻭医者の選び
咬合再構成は、お伝えしてきたように様々な治療技術を必要とします。そのため、医師は豊富な治療経験の他、あらゆる⻭の治療や⾻格などの
⽣体的知識も持ち合わせていなければなりません。
咬合再構成をしている良い⻭医者を選ぶには、以下のようなポイントを抑えることが重要す。
ホームページで咬合再構成をしていると明記している
咬合再構成の症例がたくさんある
学会や研修会などに頻繁に参加している
⾍⻭・⻭周病・根管治療・矯正治療・⼼療⻭科をしている
咬合再構成の⽬的や意味をしっかりと把握している
咬合器、CT機器、精密顕微鏡などの設備がある
料⾦や治療⽅針について詳しく説明してくれる
咬み合わせの悪さが引き起こす全⾝への悪影響
顎は⾝体の重⼼のバランスを保っています。そのため、咬み合わせが悪いと全⾝の⾻格にも歪みが⽣じます。その結果、肩こりや頭痛、腰痛、膝痛などを引き起こします。
全⾝のバランスの崩れは、不眠やめまいなど原因不明の体調不良の原因でもあります。
咬合再構成(オーラルリハビリテーション)でお⼝を理想の状態に!
咬合再構成は、⼀部分だけでなく⼝腔全体をトータル的に考えて⾏う治療です。咬み合わせを中⼼とした治療を⾏うことで、⻭の機能だけでなく審美的にも理想の状態に近づけることができ、⻑期的な健康も⼿に⼊れることができますよ。
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